患者数は4300万人超と言われる「高血圧」。実は糖尿病や脂質異常症よりも患者数が多いことをご存じでしたか?
・高血圧になっても本人は気付かない
血圧は緊張したときに上がり、リラックスしたときに下がるなど、1日の中でも変動するもの。そのうち「高血圧」とは安静にしたときの収縮期血圧と拡張期血圧のどちらか一方、もしくは両方が140/90mmHg以上になっている状態のことです。
・高血圧が女性よりも男性に多い理由とは?
では、高血圧は何が原因で起こるのでしょうか。
高血圧に関連した遺伝子は特定されていませんが、親から受け継いでいる要素は大きいようです。発症率は両親が高血圧なら約50%、どちらかなら約30%、両親ともに正常なら約10%というデータもあります。
ただし、それ以上に関連が高いのが「塩分摂取」をはじめとする食生活の影響です。特に日本人は塩分摂取が多い傾向にあります。
日本の高血圧患者の内訳は男性が約2300万人、女性が2000万人と言われ、やや男性が多いのが現状ですが、その理由は男性の方が、外食が多く、塩分摂取が多くなることが挙げられます。
・高血圧を放置するとどうなる?
血圧が高くなると血管の壁が障害を受け、身体中の血管が硬くなって劣化していく「動脈硬化」に襲われます。
動脈硬化は特定の臓器というわけではなく、全身に影響するのが恐ろしいところです。腎臓に出れば人工透析が必要となる腎不全に、目に影響すれば視力が急激に低下する高血圧性網膜症になりえます。
さらに恐ろしいことに、脳の血管が障害されれば脳出血や脳梗塞に、心臓に血液を運んでいる冠動脈が障害されれば狭心症や心筋梗塞になりえるのです。
痛い・苦しいという症状がないために放置する人が多いのですが、ある日突然、脳梗塞や心筋梗塞などの命にかかわる病気を起こすリスクがあります。
実際、男性の脳卒中の死亡危険度も収縮期血圧が140~160ぐらいの人は正常な血圧の人(正常域血圧120未満)の約3倍、180以上を放置した人には約7倍以上になるというデータもあります。
・きちんと通院すればコントロールできる
しかし、高血圧はきちんと管理をしていれば脅えないでもよい病気です。
血圧の薬は一生飲み続けなくてはいけないと考えられがちですが、薬の量を減らしたり、中断することも可能です。中には体重が下がるだけでも血圧が下がる方もいます。
高血圧と診断されたら、自分の生活を見直すチャンスと捉えて早めに対策を始めましょう。
【血圧コントロール習慣の例】
・塩分を制限する(目安は1日6g未満)
味付けを薄くする、外食や加工食品を減らす、漬物やみそ汁を控える、減塩タイプの食品を使うなど
・野菜や果物を食べる(塩分排出を促進するため)
・ダイエットをする
・有酸素運動をする(目安は1日30分以上)
・お酒、たばこを控える
・睡眠をとる
・30代を過ぎたら定期的に血圧を測ろう
高血圧はだいたい30代から徐々に増えてきます。50代では2~3人に1人は高血圧と考えられています。30代以上の方なら定期的にとは言わないまでも、自分がどのぐらいの血圧なのかを把握した方がいいでしょう。
会社の健康診断があるなら年1回は血圧測定の機会がありますが、自分から検査の申し込みをしなければならない主婦の方などの場合は意識して血圧測定の機会を作りましょう。